句評番外編

BBQくにむら

2009年07月30日 16:52

酔いどれ句会幹事@鳴兎小吉です。
良福さんがお母様にこれまでの酔いどれ句会投句作品5回分を見てもらい、気に入った作品を選んでいただいたそうなので、ここに番外編としてお知らせします。

〇第1回:兼題「白」

吹き荒れて稜線覗く霜の窓 (戊瓶)
純白に一新たらんと書初めし (与太郎)
白波に銀鱗飛び交う独航船 (与太郎)
雪止みに栗鼠も思索の時をもち (ニック・ジャガー)
枝の雪ホロリと鳥が落としけり (ニック・ジャガー)
早世を悼みて一年雪再び (酒多良福)
追悼の白菊に似たり湿り雪 (酒多良福)
野辺送りどこまで続く白き空 (未定子)
降り降りて時止まれるか白き街 (未定子)

〇第2回:兼題「空」

雪野にも温み写して空は春 (ニック・ジャガー)
雪割りの腰を伸ばせば空広し (ニック・ジャガー)
寝ころびて春満腹の空一杯 (未定子)
世の様を空も怒るか大春雷 (未定子)
発つ友よ胸はりて赴け空高し (未定子)
泥水に空見つけたり雪解かな (酒多良福)
寝転べば春の空が落ちてくる (酒多良福)
雪をこそ融かさめと照る春陽かな (酒多良福)
水菓子の如き碧さやカリブ海 (藍色園人)
晴れた空雪解け後のごみ照らし (錆爺)
友の遺志継ぎキャンパスへ雪解空 (鳴兎小吉)
うららなる虚空へ独り大背伸び (鳴兎小吉)
白々と明けゆく空に渡り鳥 (風捨)

〇第3回:兼題「風」

銀輪で切る風涼し初夏の朝 (戌瓶)
一時に咲く花散らし春の風 (戌瓶)
風に乗り子らの歓声届く春 (風捨)
最果ての島の浜辺にふきのとう (風捨)
北風に真顔の犬やなに思う (紅帽子)
痛風も酒のつまみの観桜会 (与太郎)
陽光に背なを押されて長散歩 (酒多良福)
老いたりと言いたげに揺れるポプラかな (酒多良福)
鯉幟風を喰らふて真横なり (鳴兎小吉)
空にV描きて雁の帰るなり (鳴兎小吉)
風待ちて干物に似たり鯉のぼり (ニック・ジャガー)
カタクリの風に揺れるもまた嬉し (ニック・ジャガー)
風一迅朝霧開き樹々光り (ニック・ジャガー)
憂春を吹き飛ばしてや風走る (未定子)

〇第4回:兼題「雲」

たなびくは雲か霞か山露天 (未定子)
驟雨過ぎポカリ同居す雲と虹 (未定子)
十六夜の月を隠すな流れ雲 (風捨)
姿はあれど形なき雲我が身かな (風捨)
朝霧のヴェール引き裂く鹿の声 (風捨)
雪解けの水押し寄せて滝となり (紅帽子)
新緑の山大風に蠢いて (紅帽子)
かよわげな早苗の水面風に揺れ (ニック・ジャガー)
薄青の無地に浮かんだ白き雲 (戊瓶)
入道雲山野の緑力増す (錆爺)
来し方の雲霧払えり花吹雪 (鳴兎小吉)
水無月や雲の重さは如何程ぞ (酒多良福)
鈴の音か歩み止めればヒワの群れ (酒多良福) 

〇第5回:兼題「水」

日射し強く水ぬるし憂夏深まれり (未定子)
どこまでもどこまでもなお水にげる (未定子)
炎天の水面に微かふるえあり (未定子) 
みず速し雪解け川の轟々と (紅帽子)
夏山や水は甘露になりにけり (紅帽子)
はるばると来し水集め稲萌ゆる (酒多良福)
打ち水の路地に「いただきます」の声 (酒多良福)
慰霊の日一杯の水しばし眺む (酒多良福)
すいませんお水ください夏カレー (鳴兎小吉)
大噴水上がるや鳩の翔けにけり (鳴兎小吉)
スコールの雨音聞きつ午睡かな (藍色園人)
清流に耳洗われて息を吸い (戊瓶)
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