第135回酔いどれ句会報告

BBQくにむら

2020年05月12日 20:00

昨日は、はじめてのWEB句会でした。
選句者は、林檎、湯児、鳴兎小吉、北留2号、ニック・ジャガー、紅帽子、未定子、実桜、錆爺、泥游、戊瓶、酒多良福の12名でした。

一人当たり7句選んでいます。

出句者は、山茶花、林檎、床雑巾、高丘夕雨、湯児、ニック・ジャガー、北留2号、鳴兎小吉、紅帽子、実桜、泥游、戊瓶、酒多良福の13名で、56句が集まりました。

兼題は「笛」、または自由題です。

間違い探しとコメントをよろしくね


酒多良福




14 花筏風の行方を占へり    高丘夕雨
42 蒼空や声を限りの揚げ雲雀   酒多良福


2 アスパラガス母に会いには行けねども  戊瓶
5 たんぽぽや犬のリードは伸びきって   鳴兎小吉
20 君は霧笛を聞きながら寝たことはあるか  湯児
23 口笛を一つ盗んで春の暮   高丘夕雨
24 口笛を桜に聞かせ千鳥足   酒多良福
35 春鹿は魅惑の尻を揺らし跳ぶ   実桜
46 笛の音鳴らない校舎桜舞う   床雑巾


4 ソーシャル・ディスタンシング鷺はぽつんと春の沼   鳴兎小吉
7 パソコンを打つ手の皺とわらび餅   泥游
13 花咲けり白衣の人に託す明日   戊瓶
36 春天のそこに鳶笛モエレ山   鳴兎小吉


16 郭公の笛に吸い込む森の息  戊瓶
19 暁の湖上を渡る帰雁かな  湯児
25 行くあての無いシャッター街月朧  北留2号
30 残雪や美笛の森に宿りして  酒多良福
49 突然の幕切れ汽笛花冷えて  北留2号
50 南風鳶の口笛空高く   ニック・ジャガー
51 満月の輪郭滲む春の酔い  実桜
52 夜更けには川音聞こゆ雪解かな  ニック・ジャガー
56 囀りて億千年をリフレイン  鳴兎小吉


3 コロナ禍は季語にならんな長期戦  紅帽子
6 ないだろなマスクをつけた鼓笛隊  紅帽子
9 まだ今も迷う夢みる上野駅  ニック・ジャガー
10 ラジオより人生相談花の昼  高丘夕雨
12 夏にはと出番を待てり鼓笛隊  戊瓶
17 汽笛鳴り夜汽車の尾灯遠く去り  ニック・ジャガー
18 暁の映る白磁に一番茶   湯児
22 枯芝のピッチに開始の笛鳴らず  酒多良福
26 国中に舞い降りたるか閑古鳥  戊瓶
31 始まらない学校恨みの笛響く  北留2号
39 雪解けの林道無残鹿の骨  実桜
40 掃除後のコードしゅしゅーっ、さあ朝だ  紅帽子
44 壇蜜と三密してもなるのかな  泥游
48 藤の房刈られてもなほ咲き誇り  山茶花
53 陽炎や三・一一ウイルス禍  鳴兎小吉
54 竜宮や朝寝過ぎれば夢尽きぬ  高丘夕雨


1 YouTube汽笛鳴らしつ春惜しむ  泥游
8 ひな鳥の柔毛もそよぐ草の笛  林檎
11 黄門はなぜ助さんを先に呼ぶ  紅帽子
15 花冷や警笛吹ひし夜半の杜  高丘夕雨
21 警笛を長く鳴らして終列車  酒多良福
27 笹藪は笛が頼りの迷子かな  実桜
28 皐雨に浮かぶ狐火の半月  林檎
29 三密は避け壇蜜と親しむか  紅帽子
32 指笛はにっくき敵待ち遠し(かたき)  北留2号
33 七分咲きタイヤ交換布団干し  湯児
34 出発の汽笛も悲し夜汽車かな  ニック・ジャガー
37 春燈も一つ二つと消えにけり  北留2号
38 春嵐冬笛のごと窓を打つ ※ふゆぶえ  泥游
41 草の芽やマスクずらして風の香を  泥游
43 騒動もどこ吹く風のイヌフグリ  実桜
45 鳥声は笛竹のごと暮れの春※ふえたけ  山茶花
47 鉄樹さえ蕾緩ませ春のかぜ  林檎
55 狼哭くか鵺啼きて夜は明ける※ぬえ  湯児


以上が結果報告でした。
今回は特別付録があります。

自作解説を送ってくれた同人がおりますので、それを載せておきます。

・  ・  ・

(泥游さんの自作解説)
草の芽やマスクずらして風の香を
どうしても歩きたくて訪れた水源地公園、開いていました。その時の実景です。

壇蜜と三密してもなるのかな
ニュースで三密と聞くたびに壇蜜を思い浮かべるのは、私だけでしょうか。密会、密着、密通...

パソコンを打つ手の皺とわらび餅
今年は普段に増してパソコンばかり。近景、実感です。

春嵐冬笛のごと窓を打つ ※ふゆぶえ
窓だけでなく、家中に冬のような「ピユー」が響きました。

YouTube汽笛鳴らしつ春惜しむ
この春はどこにも行けませんが、YouTubeにはいろいろ上がっています。ひと時、バーチャルで旅愁。

・  ・  ・

(ニック・ジャガーさんの自作解説)
外出自粛でじっと家にいると、日中はよくウトウトしてるのに夜は眠れなかったり、リズムが狂います。
兼題の「笛」を考えてるうちに「汽笛」という語を思いつきました。
ある夜、ふと目覚めて眠れず「汽笛」を考えていたら思いがけず様々な強い想い出がよみがえっとしまいました。
私がまだ小っちゃかった頃、父が出稼ぎに旅立つときに駅でなく家の裏の踏切近くに見送りに行ったら、父が列車最後尾のデッキに立っていて手を振っていた事(夜行急行の津軽2号です)。
あと、私が東京で暮らしていた頃、母が余命宣告されて毎月のように暗い気持ちで上野発の夜行列車に乗り、見舞いに帰っていた事(寝台特急あけぼの だったかな・・・?)。
などなど父母について何十年も忘れていた事がどんどん浮かんできて、これは両親が私の事を迎えに来たのではないかと思ってしまいました。あっ、今仏壇がカタッといった気がする・・・ああ、今日だったんですかなんて。
結局その後も生きてて、今投句しているのですが・・・。
今回、そんなよく分からないであろう句があります。
外出自粛でリズム乱れたんですね。
前置き長すぎですが「笛」の句をお送りします。

南風鳶の口笛空高く

夜更けには川音聞こゆ雪解かな
雪解けで増水している川音が大きくなっています。普段は夜更けでも聞こえないのですが、日中暖かく窓を開けていて内窓がちゃんと閉まっていなかったのです。これも春らしいことと思いました。

汽笛鳴り夜汽車の尾灯遠く去り

出発の汽笛も悲し夜汽車かな

まだ今も迷う夢みる上野駅
 上野駅で、気が急いているのに行きたいところにたどり着けない夢を今も見る事があります。

・  ・  ・

(林檎さんの自作解説)
皐雨に浮かぶ狐火の半月
→お天気が不安定な夜もありましたね。雨に浮かぶ月は、狐火のようでした

ひな鳥の柔毛もそよぐ草の笛
※にこげ
→さわやかな風を受けたい願望です。

鉄樹さえ蕾緩ませ春のかぜ
→世界的な激震。ありえない事だらけに振り回されています

・  ・  ・

(戊瓶さんの自作解説)
2 アスパラガス母に会いには行けねども
今年の連休は義母のいる名寄に行けませんでした。ふるさとの味を噛みしめながら終息を願い詠みました。

12 夏にはと出番を待てり鼓笛隊
名寄の小学校の時、学校で鼓笛隊を編成し、6月の旭川護国神社祭の音楽パレードに参加するのが一大行事でした。今年は、夏には出番があるのでしょうか。

13 花咲けり白衣の人に託す明日
最前線で奮闘する多くの医療従事者への差別・偏見に心が痛みます。彼らの努力が医療崩壊を食い止めています。

16 郭公の笛に吸い込む森の息
カッコウの声が響く森の中、森の様々な生き物の息吹を吸いながらの山行を思い詠みました。

26 国中に舞い降りたるか閑古鳥
出口はいつ見えるのでしょうか。

・  ・  ・


以上です。これでホントにおしまい。
最後になりましたが、紅帽子さんのご協力に心より感謝いたします。





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